Board Game Design Advent Calendar 2018

エッセンシュピール'18を見に行った上での、ゲームのグラフィックデザインの話

●はじめに

 この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2018( https://adventar.org/calendars/3201 )の7日目の記事として作成しました。

 

●そもそもエッセンシュピール(Internationale Spieltage SPIEL)ってなんぞや?という話

 

 ボードゲーム・アナログゲーム関係のニュースを見ていると、10月頃に「エッセンシュピール」というイベントの話が流れてくると思います。

 このイベントは、ざっくり言えば「アナログゲーム版の東京ゲームショウやE3などの見本市」といっても差し支えありません(実際に行って見て感じた雰囲気は、ゲームショウ+物産展ですが(笑))。

 

 日本で行われる「ゲームマーケット」との決定的な違いは、世界中のゲーム“メーカー(出版社)”が数多く出展している、という所でしょう。ゲームマーケットに出展していないHABA社がブースを出していたり、ゲームの印刷所がブースを出していたり、ブラジルのゲームメーカーなども来ていたり、アスモデ社はゲームプレイの様子をネット放送で中継していたりと、(海外であるというのを差し引いたとしても)ゲームマーケットとは全然違う雰囲気になっています。

 そもそも、会期4日間、来場者数累計190,000人(2018年公式発表)という巨大なイベントで、1日47,500人が来ている計算です。ゲームマーケット2018秋の1日目入場者数が12,000人(公式発表)なので、約4倍弱の人が会場にいる計算です。

 

 なんだかんだで日本人で行っている人も多いので、当日の様子は以下のサイトなどを見てください。

https://togetter.com/li/1279363

http://fu-ka.livedoor.biz/archives/1856327.html

https://www.4gamer.net/words/012/W01257/

http://hobbyjapan.co.jp/cardgamer/?p=13090

 

 

Internationale Spieltage SPIEL

http://www.merz-verlag-en.com/

 

 で。

 個人的に最近Japonbrandのお手伝いをしておりまして、今年2018年は、わたしも会場に行っておりました。

 ▲プレスルームの様子。会場で売られている様々なブースのゲームを一挙に見ることができる(ただし入れるのは取材者・出展者のみ)。が、ここに出すのは“任意”だったりするので、会場にあるゲームが全部あるわけではないのです。

 

 エッセンシュピールは、アナログゲームで最大級と言っても過言ではないイベントであり、東京ゲームショウ的な側面もちゃんとあって、各社の新作がここで発表されたり、その新作ゲームをここで買う事もできたりするので、ニュースサイトなどや個人ブログ、Twitterなどもちゃんとチェックしていると、会場の様子は比較的わかります。

(ヤポンブランドの健部氏は、「エッセンシュピールに行くと(老若男女みんなアナログゲームで遊んでいる光景を見ることが出来るので)人生観が変わる」という話をしているのですが、個人的にはここ数年エッセンに行っている人のまとめやニュースなどをしっかりチェックしていたおかげで、人生観が大きく変わるほどの衝撃が無かったというのは内緒です。エアエッセンが過ぎるとこうなる悪例です(何))

 

 が、なにせ会場は超広いこともあり、実際は「エッセンシュピールのすべてをニュースだけで知る事は難しい」というのが実情です。

 個人的には「エッセンシュピールにTCGがどれだけ来ているのか」「版権ゲームがどれぐらいあるのか」「コミックアクションというイベントが併設されてるんだけど、その様子は?」というのを知りたかったのですが、ニュース記事では実際これらに触れられていることは少なかったりします。

(比較的しっかりレポートを行っている4Gamerの記事でも、特に今年は「アナログゲームに興味がある人」というより「4Gamerの読者向け」というゲームレポートになっているそうです。そのため、TCGに明確に触れている記事は無かったりします)

(ホビージャパンのレポート記事でTCGに触れてるって? それは私が書いた記事だ(何))

 

 今年はやっと行く事ができたので、個人的に知りたかったことについてや、会場の雰囲気、そして会場ではどんなゲームが実際に売れてるのかなどなど、いろいろ知る事ができたのは、大きな収穫だと思っております。

▲日本では記事に取り上げられることがほとんど無い、こんなゲームも。なんで取り上げられないのかは、18歳未満の人は検索しちゃダメですよ!

 

 重ねてとなりますが、会場の雰囲気レポートは↑にあるurlの各サイトなどを見てもらうとして、アナログゲームを作ろうとしている人に向けて、エッセンシュピールで売っていたゲームと日本のゲームの「イラストデザイン」について記録をしていこうと思います。

 

 

●本題・萌え絵のゲームは子供向けゲームと思われる!?

 日本のサブカル文化の代表格と言えそうな「アニメ絵」的なイラストですが、現状世界に向けてそのまま出すのは、現状非常に厳しいように見える状況でした。

 いやまあアニメ絵のゲームは売っているんですが、それは完全に「版権物(海外展開しているアニメのゲーム)」がほとんどでした。

 

 この件について、エッセン終了後にもいろいろな人に話してみたのですが、どうも「子供に見えるイラスト(かわいい登場人物)だと、子供向けゲームだと認識されてしまう」というのが要員の1つのようです。

 また日本で流行しているいわゆる「萌え絵」のキャラクターデザインだと、設定上大人であっても子供だと認識されてしまうようです。

 

 日本ではアニメやマンガ文化が強く、子供でも主人公キャラクターとして認識することができ、普通にゲームとして遊ぶことが出来るのですが、海外でそれが通じるのは、比較的日本のアニメ文化が通じる地域(台湾・韓国・中国あたり)ぐらいで、アメリカ圏・ヨーロッパ圏では厳しい感じとのことでした。

 現在世界各国版が出ている『街コロ』や、オインクゲームズの各ゲームのグラフィックデザインは、日本的な特徴という意味では弱いかもしれません。

 でも、実際はこれらのゲームは世界各地で販売されています。特に『街コロ』はグラフィックデザインは日本語版と同じ物です。

 これから見るに、日本っぽいアニメイラストにするよりも、スタイリッシュなイメージデザインの方が世界でも受ける状況になっているかと思います。

 

 また、どうしてもキャラクターイラストが必要という場合、世界販売版の『ラブレター』のように、厚塗りで年齢の高いキャラクターイラストなら、子供向けとは思われなくなるでしょう。

(ただ厚塗りイラストを作ってもらうとなると、値段高くなりそうだなあと思うので、個人作成で頼むとなると難しそうですが……)

 

 

 あくまで日本のみ向けで作る、というなら可愛いキャラクターでも大丈夫ですが、海外の人の手にも取ってもらうことを考えたときは、本当にそのグラフィックデザインで大丈夫なのか?というのを考えてみた方がいいかもしれません。

 

 

●ただ、何事にも正解はない、というオチ

 というのが、エッセンシュピール18の会場を見て思った感想です。

 

 ただし、当然例外は存在しています。

 日本のアニメ題材だったり萌え絵っぽいゲームを出しているメーカーもありますが、それはずっと「そういうゲームを出している」メーカーなので、そこまで続ければそのファンの人が

 またここ2年ぐらいは、『AZUL』のヒットで強いテーマは無くてもきれいなコンポーネントでも受ける、という状況になっているようです。

 

 エッセンシュピールに行かなくても、そのあたりを気にしておくと、海外の人も気になるコンポーネントデザインを作れるような気もします。

 

 

(グラフィックデザインも世界的な流行というのはやはりあるので、来年になったら急に日本の萌え絵のようなゲームが大量に出てくる可能性も否定できないわけで……)

 

●おまけ:ポケトークはエッセンシュピールで使えたのか?

 最近CMなどでもよく見かける「ポケトーク」をレンタルしまして、会場で使えるのかどうかをちょっと試してきた、というレビューも書いておきます。

▲携帯翻訳機ですね。実はこれをレンタルできるサービスがあります。

 

 結論から言うと、「必要な時にポケトークを出す、という練習が必要。現状は高級なお守りかな」という結果に(汗)。

 

 諸々あって会期でポケトークを使ったのは3回程度だったのですが、けっこう出しそびれた上で、個人的に英語を流ちょうには話せなくても単語はなんとなく聞き取れるし、単語を言うことはできるので、それでだいたい会話できてしまったりします。

 どうしても必要な時もあるかも知れないのですが、わりとスマホの音声認識や翻訳は優秀になっているので、そっちを使った方が

(実際に、ブラジルのメーカーの人と「TSUKIJI」というゲームの話をちょっと聞いたのですが、こちらがポケトークを出そうとわたわたしていたら、メーカーの人はiPhoneを取り出してそれで翻訳した文章をこちらに見せて~みたいなこともありました)

 

 ですので、エッセンシュピールの会場内ではほぼ使わなくてもいい(最悪スマホでいける)という感じでした。

 

 ただ個人的には、海外旅行でちょっと単独行動をしたことがあり、少しぐらい言葉がわからなくてもわりとなんとでもなる、という経験上の認識があるので、「私とたまたま相性が悪かった」という感じでもありますね(汗)

 

 

 ただ、「会話は全部ポケトークでやる」ぐらいの勢いで出すなら、もしかしたらもうちょっと使えるかも知れないなあ、という感じもあります。

 

 ちなみに取り出すのにわたわたした原因ですが、胸ポケットにポケトークを入れてたけど、そこでタッチパネルとか勝手に動いちゃって、設定していたはずの翻訳言語が違う物になってて焦る、ということがちょっとありまして……